昔つくったツールたち

昔作ったツール類を公開してみたので,解説がわりにメモ.



DNA ToolsはDNAの二重らせん融解温度(Tm),逆配列や相補配列,吸光度から濃度,といったものを(あくまでざっくりと)計算できるツール.学部生のころ,新しい構造の設計をするときに塩基配列を手で書いていて訳が分からなくなったため,急遽作ったものです.急いで書いたわりには案外使い勝手が良くて,ほぼ手を加えないでいまだに使い続けている.
(そのため,どこか算出を間違っているかもしれない可能性はナキニシモアラズ.アシカラズ.)

売りは一応,Tmの算出法を3種類使うことができ,さらにはNearest-Neighbor法算出時に,溶液中の1価と2価イオン濃度をいれると,参考論文の補正式に従って補正をしてくれる点.ただ,どっちにしてもN-N法なので,Zukerのアルゴリズムなどと比べちゃうと誤差はかなり大きいです.DNAナノ構造的には,あくまで相対的に二本鎖形成の順番を調べたり,温度帯のあたりをつけるくらいの信頼性だと思われます.


T-motif DesignerはT字型分岐を組み合わせてつくるモチーフ(T-motif)の設計支援ツール,と言うと格好いいですが,ブロックをただdrag&dropで並べるだけのものです.エラーの警告とかも一切なし,ただ並べ/回転させるだけ.
点線がつながるように,また,灰色(二重らせんの副溝の半分を表す)と白色(主溝)の三角形のうち,同じ色同士をストライプになるようにつなぐ,というのが一応のルール.T字分岐を考えたはいいのですが,これをつかったモチーフを設計するとなると,複雑なものになればなるほど紙と鉛筆では混乱してしまい作った,というのがそもそもの経緯です.これをつかえば(平面のモチーフについては)二重らせんの長さと位相を明示的に考えなくても設計できます.

ここまで来て気づいたのですが,ツールを書こうとおもうときって,大概,手でどうにもならなくなったとき,みたいですね.必要は発明の母なり.